アニメ『やがて君になる』2話及びOP感想まとめ ~演出論のような何か~
アニメ『やがて君になる』2話視聴。最初に目をひいたのはバレーの授業風景。原作では、沙弥香さんが燈子さんから合った目を逸らす芝居は一度だけ。一方、アニメでは会話が始まる直前にもその芝居が挟まれ、それに気付いた燈子さんが沙弥香さんに話しかけに行くという流れになっている。
— パンナコッタ (@yuridake2018) 2018年10月13日
これにより、燈子さんが沙弥香さんの不機嫌さを察して声をかけに行ったことが原作より「分かりやすく」なっている。「分かりやすく」なので、原作ではそうなっていないのではなく、そちらはそちらで表情と会話の流れで燈子さんが声をかけた理由を物語っているということ。
— パンナコッタ (@yuridake2018) 2018年10月13日
その過程で「ごめん、ちょっといい」と周囲に断ってから沙弥香さんの所へ向かったのも、二人の親友関係を表現する上で良い追加要素かと。周囲を差し置いても優先するというのは、そういうこと(それで周囲に対してもカドがたたないのが燈子さんの燈子さんたる所以か)。
— パンナコッタ (@yuridake2018) 2018年10月13日
この授業風景は、そんな感じで立て続けに燈子さんと沙弥香さんの親友関係を強調してく。アニメ独自のものを他に挙げるなら、燈子さんの髪を結ぶ沙弥香さん。燈子さんの後ろに立ち、ごく自然にそれを行えるのは、入学からずっと燈子さんの次=2位のポジションに居続ける沙弥香だけという演出かと。
— パンナコッタ (@yuridake2018) 2018年10月13日
で、肝心要のキスシーン……の直前。さすが監督作の依頼を断ってトロイカの過去作『レクリエイターズ』に副監督として参加した加藤監督というか、あなたその遮断機を強調する演出絶対『レクリエイターズ』1話冒頭から持ってきたでしょ!w(インタビューでもあそこすげえみたいに言ってたもんね!)
— パンナコッタ (@yuridake2018) 2018年10月13日
それはそれとして、キスシーンの話。ここで採用されたのは、時間が止まったかのように見せる王道の演出。その演出が解けるのは、燈子さんが先。「好き」を表現した燈子さんに「置いていかれた」侑さんはその時点でまだ止まった時間の中にいる。物語の肝を体現したもの凄い演出だった。
— パンナコッタ (@yuridake2018) 2018年10月13日
Bパートに至ってもこの作品のトロイカイズムのごとき演出は続く。選挙への協力に再度同意した後、侑さんは先輩と逆方向に歩き出す。その間にあるのは大きな柱。「好き」を知った燈子さんと未だそれを知らない侑さんとの境界線。
— パンナコッタ (@yuridake2018) 2018年10月13日
これなんて『喰霊-零- 』? って感じの演出だ。『喰霊-零- 』最終回のある場面で登場人物二人の心理的な境界線として木が配置されたことがコメンタリーで明かされているが、その血が流れるトロイカの最新作では木が柱になった。色々と継承されてるなあ。
— パンナコッタ (@yuridake2018) 2018年10月13日
「ずるい」の直後、主観視点で侑さんが手を伸ばすあれはトロイカイズムでなく完全に加藤誠イズム。過去、加藤監督はトロイカ作品のOPで二度あのカットを使っているが、今回はコンテ担当の方がそれを拾ったのか、加藤監督の指示だったのか、はたまた別方向からの指示だったのかは関係者のみぞ知る。
— パンナコッタ (@yuridake2018) 2018年10月13日
本編については次で一旦最後。喫茶店での場面。「付き合ってなんて言わないから」の直後、侑さんと燈子さんの顔がそれぞれ片側半分だけ映される。前者は画面の左側、後者は右側に映されるが、ここも二人の心理的な対比を示す良いカットだった。
— パンナコッタ (@yuridake2018) 2018年10月13日
アニメ『やがて君になる』OPの話。タイトルをどんと提示した直後なのだから、主役二人が並ぶ映像を提示するのがベターな所、この作品はあえて分けてきた。見た目の分かりやすいインパクトより、物語性を重視した至高のコンテ。
— パンナコッタ (@yuridake2018) 2018年10月13日
灯里さんー侑さんーこよみさんで作られる教室の角と角を結ぶ対角線。その両端が「恋愛中(片想い)」「恋愛より夢(小説)」であり、そのどちらでもない中心にいるのが侑さんという構図。そして床に溜まった水は、そんな侑さんが今後どちらに流れていくだろうことの暗示として配置されたものか。
— パンナコッタ (@yuridake2018) 2018年10月13日
こよみさんはそのまんま小説を書いてるんで分かりやすいんですけど、灯里さんはパッと見明後日の方向を向いてるだけのように見えて実は窓の外の先輩を見てるって構図ですよねあれ。視線一つにも意味を込めるような所にこそ、その作品の熱量がこもる好例だ。
— パンナコッタ (@yuridake2018) 2018年10月13日
次に提示されたのは、燈子さんと沙弥香さん。安定のポジションであった「燈子さんの隣」に波紋が広がり、手を伸ばした時にはすでに燈子さんがいなくなっている。伸ばされた手は力なく空中に固定されたまま。これが沙弥香の物語、その一部。
— パンナコッタ (@yuridake2018) 2018年10月13日
そこからのパートは「本来の顔を隠す」というテーマを中心としていく。すでに仮面をかぶり続けている燈子さんはもちろん、それと同時に侑さんもまたお話の進行と共にある仮面をかぶるようになっていくことを示唆する映像だ。
— パンナコッタ (@yuridake2018) 2018年10月13日
と、こんな感じで冷静な風を装って喋ってますが、最初見たとき実は号泣するくらい感動してました。しばらく本編視聴がままならないほど心にきたので、一旦再生を止めるハメになったり。
— パンナコッタ (@yuridake2018) 2018年10月13日