アニメ『やがて君になる』3話感想まとめ ~演出論のような何か~
アニメ『やがて君になる』3話視聴。開始数秒で今回のトロイカポイントが発生。鳥。鳥と言えば、トロイカのトップ陣の一人あおきえい氏の十八番で、トロイカができていない頃の『喰霊-霊-』でもトロイカのデビュー作『アルドノア・ゼロ』でも重要なメタファーとして登場してきた。
— パンナコッタ (@yuridake2018) 2018年10月20日
『やがて君になる』の加藤監督は『アルドノア・ゼロ』にがっつり関わっており、3話における鳥はその流れを汲んだ演出である可能性が高いのではないかと思う。では『AZ 』において鳥が何を示していたのかと言うと、それは登場人物の心理や関係性だった。
— パンナコッタ (@yuridake2018) 2018年10月20日
『やがて君になる』の鳥も、同様の役割を課せられた存在なのではないだろうか、というのが今回喋りたいポイント。冒頭登場したのは、先頭を飛ぶ1羽+追走する1羽で計2羽。実は、と言うには明確すぎるかもしれないが、こいつらは3話内で再登場する。
— パンナコッタ (@yuridake2018) 2018年10月20日
侑さんが先輩の弱音を聞き、弱さを見せても問題はないと諭すシークエンス。この時、2羽の鳥は冒頭のように「片方がもう一方を追走する」のでなく「仲良く並走する」形をとっている。
— パンナコッタ (@yuridake2018) 2018年10月20日
この変化が表現しているのは、おそらく3話の要も要、「侑さんが先輩に対する疑問(何故自分を好きなのか)を解消し、共に歩むことを決める」というテーマ。よく分からないがひとまず選挙の手伝いとして追いかけるのではなく、次は役員として側で本格的に先輩を支えるのだという侑さんの心理の変化。
— パンナコッタ (@yuridake2018) 2018年10月20日
トロイカポイントと言えば、3話に限った話ではないのだが、数本だけ群れからはぐれている髪の毛もまたこのスタジオの強みだ。これはデビュー作で徹底的にこだわり抜いていたポイントで、『やがて君になる』でもその色が出まくっている。
— パンナコッタ (@yuridake2018) 2018年10月20日
家族団欒の場面。ここで「外面は良い」と先輩を評する侑さんのやれやれ感を原作では暖簾をくぐる所作で表現しているが、アニメでは直前の場面で自分の家族と友好的に話す先輩にジト目を向けるという形に変更している。ちょっと面白かった。
— パンナコッタ (@yuridake2018) 2018年10月20日
ちなみにこの家族団欒はトロイカポイントその2でもある。一同が会する場面で人物の顔の上半分だけ映すってそれ『アルドノア・ゼロ』でも見ましたよ!
— パンナコッタ (@yuridake2018) 2018年10月20日
場面は飛んで灯里さんがフラレた事実で「いたたまれない空気」になった所。灯里さんが空気を変えようと試みるまでの一番気まずい間、カメラはずっと柵の外側で固定されて、しかもちょうど全員の顔を隠すようになっているのが粋な演出だった。
— パンナコッタ (@yuridake2018) 2018年10月20日
Bパート、演説前。「今更何言ってるんですか」と侑さんが言うタイミングが原作のそれよりも一段早く(原作では「…」くらいの間があるがアニメでは先輩の台詞から間を置かず喋り始めてる)、迫力ある場面に仕上がっている。
— パンナコッタ (@yuridake2018) 2018年10月20日
この前後を含めた一連の流れは原作の中でも屈指の名シーンだが、映像作品でそっくりそのままコピーしてしまうと単調で退屈な場面になってしまっただろう所、そういう間のとり方や細かなカメラの動きによって処理しきったのはさすがと言うしかない。
— パンナコッタ (@yuridake2018) 2018年10月20日
「私は特別な私のままでいたい」と語った先輩の、左側=侑さんがいない側に逸らされた視線。そんなアニオリ要素も印象的だった。今侑さんに見せている弱さは自分の願いとは対極にあるものだという自覚のあらわれとして、とても良いカットだったのではないかと。
— パンナコッタ (@yuridake2018) 2018年10月20日
演説シーンで特徴的だったアニオリ演出は、壇上を歩く侑さんの主観視点。この処置によって、視聴者を侑さんに同化させ、演説を聞く生徒達を目にした瞬間侑さんが感じた緊張、そして常日頃から先輩が感じているであろう緊張を肌で感じさせる。なかなか恐ろしい演出だ。
— パンナコッタ (@yuridake2018) 2018年10月20日